中国では詩を詠むことは文人・知識人の必須教養でした。
刹那なる人の一生と永遠なる自然に涙し、友や愛する人を思い、
詩とともに酒を酌み交わしたといわれています。
中国を代表する大詩人、李白。李白は波乱万丈の一生を過ごしました。
古来より世が戦乱の時代である程、泥沼から咲く蓮のように美しく咲く
芸術家が誕生するといわれています。李白もその一人といえるでしょう。
― 春夜桃李園に宴するの序 ―
人生は夢のようにはかないものである。しかも、その短い一生の中で
楽しみの時間といったらどれほどあるのだろうか。
時は春の宵、こんなに素晴らしい場面を天が与えてくれているのだから、
さあ、みんなこの花のもとで酒を酌み交わしながら詩を吟じて大いに今という
時を楽しもうではないか。 /李白(701~762)
李白は酒と自由をこよなく愛し、豪放磊落にロマンを求める詩人でした。
詩もどちらかというと人情深く、スケールの大きいものが多かったそうです。
1000首も詩を残したという李白。おそらくその一つ一つに思いを込め、
生きた証を残したのではないでしょうか。