日本の象徴である富士山は、古来から「霊峰」と呼ばれる信仰の山。
神道、また密教や道教の流れをくむ修験者により信仰が広められ、
山頂に至るまでいくつもの霊場が開かれてきました。
その白くそびえ立つ雄姿を見ると、江戸時代の人々が
富士を崇めた事が分かるような気持ちがいたします。
当時の江戸の人々は、朝起きるとまず富士さんの方角に向かって
一礼し、拝んでから一日の行事を始めていました。
すべての人達が、という訳ではありませんが、
戦国時代に始まった富士信仰は江戸時代に大ブームを起こし、
多くの人々に親しまれていました。
富士信仰の由来のひとつに、戦国時代(15~16世紀)に
開祖・長谷川角行が山中で修行を重ね崇敬を集め、
江戸時代以降一般に広まったとされています。
藤原鎌足の子孫であったといわれた修験道の長谷川角行
(かくぎょう)は、全国各地の山々で厳しい修行を積み、
当時江戸で疫病が万延した際に万民の救済を祈願したお札を配し、
数万人もの命を救済したと伝えられています。
雄大な大自然を前にすると、人間がいかに小さい生き物かと
感じずにはいられません。
人間の力がごく限られたものと感じれば、自然と謙虚に
なってまいります。